レンズのバルサム切れとは?原因と対策、そして買取のポイントについてご紹介

カメラを使う方にとって、レンズの状態は写真の仕上がりを左右する意味でとても重要です。その中でもレンズの「バルサム切れ」という現象は、写真撮影に支障をきたし、レンズ自体の価値を下げてしまう要因となります。今回は、バルサム切れとはどんな状態か?また、その原因、対処法、そして買取における注意点についてご紹介します。


バルサム切れとは?

まず「バルサム切れ」とは何かを理解するために、「バルサム」という言葉の意味から見ていきましょう。

かつてカメラレンズの製造では「カナダバルサム」と呼ばれる天然樹脂が接着剤として使用されていました。このバルサムは、カナダやアメリカに生息するモミの木の一種「バルサムモミ」から採取され、高い屈折率と透明度を持つことから、100年以上にわたりカメラレンズの接着に利用されてきました。しかし、年月の経過とともに劣化が進むという欠点があり、現代ではより耐久性の高い合成接着剤が主流となっています。

バルサム切れは、この接着剤が経年劣化や乾燥などの影響を受け、レンズ同士の接着が剥がれた状態を指します。レンズ表面にくもりや白濁が現れることが特徴で、写真の焦点が合わずぼやけた仕上がりになってしまうのが主な症状です。


どのようなレンズがバルサム切れを起こしやすい?

バルサム切れは、特に古いレンズで発生しやすい問題です。以下のような条件を持つレンズには注意が必要です。

  1. 製造から30年以上経過したレンズ
    合成接着剤が普及する以前のレンズでは、バルサム切れが起こるリスクが高まります。特に、手動でピントを合わせる古いタイプのレンズで多く見られる現象です。
  2. 保管状態が悪いレンズ
    湿気や乾燥に影響されやすいレンズは、保管環境の影響を強く受けます。高湿度だけでなく、極端な乾燥環境も接着剤を劣化させる原因となります。

バルサム切れが発生する原因

バルサム切れの主な原因は次の2点です。

1. 経年劣化

年月の経過とともに接着剤の品質が低下し、徐々に剥がれが生じます。古いレンズほどこの影響を受けやすいです。

2. 乾燥

乾燥した環境は接着剤を劣化させるもう一つの要因です。湿度が極端に低い場所での保管は、接着剤の持つ柔軟性を失わせ、剥がれを促進してしまいます。


バルサム切れへの対処法

もしバルサム切れを発見した場合、以下の選択肢があります。

1. 修理に出す

専門業者に修理を依頼することで、接着剤を再加工することが可能です。しかし、メーカーの修理対応が終了しているケースが多く、修理費用が中古での買い直しよりも高額になる場合があります。そのため、特別な思い入れがあるレンズやプレミアム価格が付いているレンズ以外では、修理はあまりおすすめしません。

2. 売却をする

バルサム切れを起こしたレンズも買取に出すことが可能です。ただし、基本的にはジャンク品として扱われることが多いため、通常の査定額よりも大幅に低い金額になることを覚悟する必要があります。それでも、プレミアムがついているレンズやバルサム切れの状態次第では、一定の買取価格がつく場合もあるため、一度査定を依頼してみる価値はあります。


バルサム切れを防ぐには?

バルサム切れを完全に防ぐことはできませんが、日常の保管環境に気を配ることでその発生を遅らせることは可能です。

最適な保管環境を整える

カメラレンズにとって最適な湿度は40%前後とされています。この湿度を維持できる「防湿庫」に保管することで、劣化のリスクを大幅に軽減できます。

防湿庫の活用

防湿庫は湿度管理を簡単に行えるためとても便利です。特に、高価なレンズや長期的に使用する予定のレンズは防湿庫での保管を検討することをおすすめします。


まとめ

バルサム切れは、古いレンズに付き物の問題ですが、適切な対処と保管によってその影響を最小限に抑えることができます。使わないレンズを防湿庫で保管するのも一つの手ですが、バルサム切れを完全に防ぐことは難しいため、しばらく使わないレンズは売却を検討するのも賢明な選択です。

買取を利用すれば、使用予定のないレンズを有効活用することができます。専門の査定士に相談し、レンズの価値を正確に評価してもらいましょう。バルサム切れのリスクを抱える前に、ぜひ一度ALPSTOREにご相談くださいませ。