フォクトレンダーのフィルムカメラ「ベッサL」をお買取りさせて頂きました。世界最古のカメラブランド「フォクトレンダー」とは?

フォクトレンダーとはどんなブランドなのか?

カメラに詳しい方であれば、フォクトレンダーという名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。実は、このブランドは世界最古のカメラメーカーのひとつであり、かなり長い歴史を誇ります。カメラがまだ存在しなかった18世紀に、オーストリアのウィーンで誕生しました。18世紀といえば、日本では江戸時代の頃ですので、かなりの歴史があることがお分かりいただけるかと思います。

フォクトレンダーの創業者であるヨハン・クリストフ・フォクトレンダーは、光学機器や計測器の製造を手がけていました。そして、1839年にフランスで世界初のカメラが登場すると、翌年にはフォクトレンダーも独自のカメラを開発し、写真業界に新たな風を吹き込みました。

特に1841年に発売された「肖像撮影用新ダゲレオタイプ装置」は、当時としては画期的なF3.7の明るいレンズを搭載しており、写真撮影の露光時間を大幅に短縮できることで大きな話題を呼びました。こうしてフォクトレンダーは、その技術革新と優れた製品で、写真の歴史において確固たる地位を築きました。

フォクトレンダーはその後も多くの革新的なカメラやレンズを世に送り出しましたが、戦後にはカール・ツァイス財団に買収され、さらにその後はローライに商標権が移るなど、所有権の変遷を経てきました。

日本メーカーとの関係とは?

現代においては、フォクトレンダーのブランドは日本の光学機器メーカー「コシナ」によって受け継がれています。1999年、コシナはフォクトレンダーの商標権を取得し、新たな製品ラインを展開し始めました。これにより、フォクトレンダーは再び世界中の写真愛好家に愛されるブランドとして復活を果たしました。

コシナによって製造されたフォクトレンダーのカメラやレンズは、伝統的なデザインと最新技術を融合させたものであり、その中でも特に評価されているのが「ベッサ」シリーズです。これにより、フォクトレンダーの名前は再びカメラ市場で輝きを放つこととなりました。

ベッサLとはどんなカメラか?

今回は、そんなフォクトレンダーが1999年に発表したレンジファインダーカメラ「ベッサL」についても少しご紹介します。このカメラは、コシナが手がけたフォクトレンダー製品の第一弾であり、新たなシリーズのスタートを飾るモデルでもあります。

ベッサLは、ファインダーも距離計も搭載していない、非常にシンプルな目測式カメラです。このシンプルさが、写真撮影の本質に迫る上で大きな魅力となっています。また、ライカLマウント互換機として、古いLマウントレンズを再び活用できる点でも注目を集めました。

現代のカメラは多機能で便利ですが、このベッサLはあえて原点回帰ともいえるシンプルな仕様で登場しました。そのため、「写真を撮る」という行為にじっくり向き合いたい方には、ぜひ一度手に取ってみていただきたいカメラです。

その他のベッサシリーズとは?

ベッサLの成功を受け、フォクトレンダー(コシナ)はその後も新しいベッサシリーズを展開していきました。2000年には距離計付きファインダーを搭載した「ベッサR」が登場し、Lマウントレンズが使用できるレンジファインダーカメラとして多くの支持を集めました。

さらに、2001年にはMマウントを搭載した「ベッサT」、2002年にはMマウント対応の「ベッサR2」が登場し、ライカの現行Mマウントレンズやその他のレンズを使用できる実用性の高いモデルとして話題になりました。

そして、2004年には電子制御式シャッターと絞り優先AEを搭載した「ベッサR2A」と「ベッサR3A」が登場。これらのモデルは、それぞれ異なるファインダー倍率を持ち、多様なニーズに応える形で登場しました。

フォクトレンダーのベッサシリーズは、シンプルさと高い機能性を兼ね備えたカメラであり、多くの写真愛好家に支持され続けています。特にベッサLは、写真撮影の原点を見つめ直すための一台として、その価値を再確認することができます。コシナの手によって復活したフォクトレンダーは、これからもその伝統を守り続けるでしょう。